【鈴音】
「どうしたの?」

【由鷹】
「別に……」

って……どうして急に手を握ってくるの?
今、バイト中なのに。
カウンターの裏だけど、お客さんもたくさんいるところでどうしたの? 由兄……。


【由鷹】
「今すぐキスしたらダメか?」

【鈴音】
「ええっ!? よ、由兄……?」

【由鷹】
「ダメか?」

そんなマジメな顔で言われても……困る。

【鈴音】
「ダメ……ダメに決まってるでしょ?」

【由鷹】
「だって!! 他の男がおまえを見てるってだけでも、許せない……」

由兄……?

【由鷹】
「おまえは俺のものだって……今すぐ確かめたい」

【鈴音】
「……私が好きなのは由兄だけだもん」 

【由鷹】
「本当か?」

【鈴音】
「本当に……」

つないだ手に力を込める。
由兄、お客さんに声を掛けられたのがそんなに心配だったの?
私はこんなに由兄が好きなのに……。


【鈴音】
「由兄……」

【由鷹】
「なんだ?」

【鈴音】
「ちょっとだけ……ちょっとだけならいいよ。一瞬だけ」

【由鷹】
「えっ!?」

【鈴音】
「キス……」

【由鷹】
「…………」

それで由兄への私の気持ちが伝わるなら……それもいいかな。

私と由兄は、店内を見回して誰もこっちを見ていないことを確認した。
カウンターの裏に急いでしゃがみこむ。


【由鷹】
「鈴音……んっ」

【鈴音】
「んっ」

【由鷹】
「……好きだ……誰にも渡したくない」


【鈴音】
「うん……私も好きだよ」

【由鷹】
「……んっ……」

【鈴音】
「ん……」

【由鷹】
「……ちゅ……ちゅ……んっ」

由兄の甘いキス。
離れるのがつらい……。バイト中っていうのを忘れそうになっちゃうよ。


【鈴音】
「ちょっ……由兄……だめ」

【由鷹】
「なにが?」

【鈴音】
「ぁんっ」

【由鷹】
「……んっ……」

由兄の舌がスルリと私の口の中に入ってくる。
ちょっとだけって言ったのに!


【由鷹】
「……んっ………」

由兄の舌が、震える私の舌に追いつくと絡み付いて吸い上げる。

背筋を電気が駆け抜けるように痺れていって
頭の芯がぼうっとなってくる。