見たこともないのに、今だってなにも見えないのに、いろんな道具の形や動きを
 生々しく想像させられて、私の体は小刻みに震えだした。


【雪斗】
「僕なりに考えてセレクトしてみたよ。これってシンプルだけど、けっこう面白そうなんだな」

【鈴音】
「やめて……言わないで……」

【雪斗】
「ふうん。話よりも実際に試したいってことかな」

【鈴音】
「違うっ……お願い、やめてよ……!」

 目隠しと、雪斗お兄ちゃんが持っているもののせいで、私の恐怖は最高潮に達している。
 今すぐ飛び起きて逃げたいのに、体がいうことをきかないよ。


【雪斗】
「せっかちだよね、鈴音ちゃんは。……まず音聞いてみる?」

 私の耳もとに『それ』を近付ける気配がする。
 スイッチが入れられる。
 直後に、重く低くうなる機械音が私の耳を打つ。


【鈴音】
「いやっ!」

 思わず顔をそむけて、『それ』から遠ざかろうとする私の顎を、
 雪斗お兄ちゃんがつかんで引き戻した。
 見えない物体から聞こえる不気味な音に、歯がかちかちと震えてくる。

【雪斗】
「ちゃんと聞いて。これから鈴音ちゃんの体で試すものだよ?」

【鈴音】
「やだ、やだぁっ。お兄ちゃんっ」

【雪斗】
「やだ、じゃないでしょ。お願いします、でしょ?」

 からかうように言われたと思ったら、首筋に『それ』を押し当てられた。
 細かく振動する物体に、柔らかい首がこすられる異様な感覚。


【鈴音】
「……ひ」

 いやなのに、皮膚の神経が『それ』が何なのか探ろうとする。

 つるつるして、尖った部分がない……思ったより大きくないけど……小さめの卵くらい?
 何なの、これ……想像もつかないよ……。


【雪斗】
「まずは初心者向けっていうことで、これを勧められたんだ。どう?」

【鈴音】
「な……なに、これ……」

【雪斗】
「ローターっていうんだ。振動するカプセルみたいなものかな。色も形もかわいいよ」

 怖くて固まっている私の、あちこちにそれを押し当ててくる。
 首、胸元、太腿。それから、足の裏。
 目隠しのせいで、次にどこを当てられるのか予想できないのが、なおさら怖い。


【雪斗】
「鈴音ちゃん、やっぱり目隠しすると敏感になるね。どこを触られても反応する」

【鈴音】
「ぅ、……ああ……」

【雪斗】
「でも本当は、これを使う場所って決まってるんだよね……分かるでしょ?