【イアン】
「ん……」

なに……?
ど、どうして、こんな……こと。
私の唇に、イアンさんの唇が……!?
な、なんで? どういうこと?


【渚】
「んっ!」

【イアン】
「ふふ……ん……」

【渚】
「……んんぅ」

いや、離して欲しい。そう思ってるのに。
イアンさんから離れようと力を入れると、そのたびに唇に触れる感触が多くなる。
どうしよう。抱き寄せられる感触とイアンさんの唇の感触が……怖い。
怖くて逃げたいのに、イアンさんの力が強くて逃げ出せない。
こんなの、絶対にだめなのに……それなのに……。


【イアン】
「ん、ふ……ん……」

【渚】
「あ……」

【イアン】
「……ん、ん……」

唇に触れているだけ。それだけって思いたい。
思いたいのに……イアンさんのキス、なんだかすごく優しい。
どうして、そんな風に思うんだろう。こんなにも無理やりなのに。
抱き寄せられる感触も、触れ合う唇の感触も、優しい気がして何もできない。
流されちゃだめだって思ってるのに、そんなことが考えられなくなりそう……。
イアンさんが何を考えているのか本当に分からない。


【渚】
「は、あぁ」

【イアン】
「ふ、んぅ」

【渚】
「はぁ……ん……」

【イアン】
「んぅ……。そう、それでいいんです」

【渚】
「え……」

【イアン】
「ふふふ」

【渚】
「…………」

さっきの……なに。
思わず自分の唇に触れてみたけど、分かるのはさっきのが本当にあったことだということだけ。
間違いなく、私の唇にイアンさんの唇が……。


【イアン】
「さあ、おやすみの時間です。お部屋に戻りましょうか」

【渚】
「あ! あの」

【イアン】
「まいりましょう、渚様」